小話「人目を気にする僕」
僕は人一倍人の目を気にします。
外に出て街を歩いているとすれ違う人が僕に目線を向ける時があり、僕はそれがすごく苦手です。
割合で言うと10人に1人ぐらいです。
何の特徴がなくてもすれ違った人を何となく一瞬見ることなんて普通ですし、自分自身もしています。
しかしいざ自分が見られる立場になると、「自分の格好おかしいかな」と思い、下を向いて目を合わせないようにしています。
すれ違う人の話し声や笑い声が全て自分に向けられていると思ってしまいます。
一時期は誰かに見られるのが嫌で、会社に行くときは遠回りをして人通りが少ない道を選んだりしてました。
外に出ることが辛いことな僕ですが、ある日ネットでポジティブ思考になれる記事を見かけました。
まぁ内容をまとめると『人の目なんか気にするな』でした。
そんなことは分かっています。役に立たない記事だなと思いましたが、実際にそれを実行したことがありませんでした。
人に見られる苛立ちもピークに達し、自分を変えたいと強く思っていました。
なので一度だけ試してみました。
ある日の夕方、仕事が終わり身支度をしていました。その日は家で大事な用事があり急いで着替えて会社を出ました。
そしてあの記事のことを参考にし、僕は胸を張って、堂々と歩きました。
いつもより人の目線を感じましたが、僕は一切気にせず歩き続けました。
確実に誰かではなく僕を見ている人が何人もいましたが、気にせず前を向いて歩きました。
非常に清々しい気持ちになって新しい自分に生まれ変わったような気分です。
今後もこの気持ちを忘れずに外に出ようと思いながら家に帰りました。
そして家につき着替えようと思いズボンに手を掛けたら、急いでいたせいでズボンのチャックがずっと全開でした。
もう二度と外には出ません。